丹伊田(にいだ)先生(両国高校附属中)は今年2年目の先生です。昨年度は、中学1年生のTT(山本と)とALTの授業を担当しました。いろいろな先生の授業を見学し、良いところを取り入れ工夫してきました。授業は全体的に整っており、この1年の成果を感じます。細かい指導技術や手順については、いろいろな議論がありましたが、2年目とは思えない、安定した指導技術だと思います。今後の丹伊田先生の活躍に期待が持てる研究会となりました。 今回、長先生が所用で出席できず、事前にDVDを見てコメントを寄せていただきましたので紹介いたします。(山本 崇雄)
丹伊田先生の授業について
・授業を観て 杉本先生、山本先生の指導を日常受けることが出来ると恵まれた環境での授業の成果が授業全般に垣間見ることができる。指導案、授業の進め方、両国高校附属中の英語科での取り決めを忠実に行っている(例:辞書指導・曜日、日付けなど簡単な会話を英語で行わせる等々)いることは素晴らしい!先ずは、真似ることが大切だが(早道だが)、英語教師として更に大きく成長する為には、一つ一つの指導活動の意義を自分の頭で考え理解することが肝要である。全体的には大変好感もてる授業でした!インドネシアでの妻の個展の準備の為、十分な時間がないので、限られた時間で、出来るだけしっかり授業を観てコメントをしたい。
・授業始まる前の教室の雰囲気について: 生徒の活発な声、先生が黙々と授業の準備している光景から、英語専用の教室の必要性を強く感じた! ・準備中でも、窓側前から5列目の生徒に指導している姿は好感持てる。 ・lily を板書して、即辞書を引かせたが、辞書指導の一環だと思うが、易しい英語で説明して、ある程度類推しながら辞書を引くことも考えていいと思う。パーマの理論を応用 ・日付けなど簡単な会話を英語で行う活動は大変よい。生徒から発言を求めるのもいいが、教師が下記のような事柄に触れて会話の内容を中学3年生の知的好奇心又は他教科で得た知識と結びつけたり、事前に生徒が下記のような資料を収集準備して英語の授業に臨む姿勢が身に付けばいいと思う。・Bingo 使用語彙の発音練習をさせる場面、機器の珍しさ、生徒の早い反応に目を奪われ勝ちだが、今回丹伊田先生が提供して頂いた授業の中で、我々教師が今後十分考慮しなければならない視点を沢山提供してくれている感じた。この場面では、機器によるフラッシュカード(デジタル教材の一種)で進める授業の弊害を特に意識して授業を行い、教師の役割を考えて欲しい!
※ myself 等幾つかの単語のアクセントの間違いを、教師が修正し、先生が直接指導練習させる機会を見失っているのは、何故か!決して、先生の経験不足の問題ではない!教材のデジタル化は効率1点だけを念頭に置いた授業優先し、何の疑問を抱かず授業をすすめようとする姿勢こそ問われる時代に突入して来たと考えるべきだと思う。
この場面を観ていると、数十年前聞いたことがある木村治美教授(英文学者・エッセイイスト)の講演を思い浮かべた。日本ではかなり前から普及していたが、自動開閉ドアはロンドンでは当時まだ珍しい時代の話です。イギリスでは、ドアを手で開くと、後ろを振り向き、こちらに向かって来る人がいるか確かめ、いればそのままドアの扉を開いままで待っている素晴らしい習慣があったのだが、木村教授は、自動ドアがイギリスに取り入れられば、この素晴らしい習慣は消え去るのではないかと憂いた!機器の便利さが心の大切なものを駆逐していまわないように配慮しなければならない。教育の原点を見失わない為に!
改良点:
・フラッシュカードのスピードは実際のBingo を行う時の速さに調整しては。
素晴らしい配慮:
・次回行うBingoに単語を記入している間、流しているメロヂィーと楽器は、心が癒され素晴らしい選択でした。 ・BINGO Map を用いた Small Talk は話題の限定化で、生徒にとって英語で話すハードルが低く、所謂、One minute talk と、活動だけを丸投げした活動より、焦点化した活動で、効果が上がると思う。
・3 Short Talk
工夫点:
ペアでの活動後、数ペアを選んで欠ペアの質問する役割の生徒を前(教卓)に出し、ペアの相手に先程行った Short Talk を再現して、クラス全員に評価をさせる。田口徹先生(九段中高校)が実践している例を参考にして下さい。先生が、three four five と評価すると、クラス全員が評価の数だけ拍手する。その他にも、丹伊田先生独特の工夫が求められる活動です・・・より素晴らしい工夫を期待します。 ・話した内容を記録する活動はいいですね!書くことによって定着する。 この活動の配慮事項は?
・Dictation を授業のどの過程で行うか:
その設定理由が説明できるようにしておく
5 Oral Introduction :
東京学芸大学附属世田谷中の伊藤雄二先生のこの場面の Oral Introduction を是非参考にして下さい。Palmer の Oral Introduction の理論を勉強して欲しい。 既習の易しい英語で答えられるような Oral Interaction を行って欲しい場面でした。
※ Power Point で投射して行うのがいいか、略画を描きながら行った方がいいのか。
カットアウトした絵を用いて行った方がいいのか。筑波大学附属高校の山本良一先生の全英連東京大会(1999年)の授業は参考になります。機会があったら是非観て参考にして下さい。
教科書の内容についてintroduction する前に、
T : What do we call this building ? We call it the Atomic Bomb Dome.
次の絵を提示して、
T : You know this Dome near Suidoubashi Station . What do we call this Dome ? Have you ever been there ?
※ 身近な事柄について、既習の英語を使って、運用力を付ける指導を行う。
例:「先生はこの春休みに、カメラを担いで隅田川を散策しました。ここで、橋の写真を提示して、
do we call this bridge ? What do we call it ?
等々と、勝鬨橋、新大橋、両国橋、蔵前橋、吾妻橋、桜橋等々と、身近な事柄について、英語でinteract して、運用力を身に付けさせる。以下の写真も活用できる。電子教材に頼っていると、教師の創意工夫の感が鈍ってしまう!自由の女神は1年の1課、エジンバラ城1年6課、2年;シドニー・オペラハウス、エアーズロック、6課、等々、既習の事柄を用いて新教材の内容に迫る。
T : Look at this picture ? 67 years ago, this building destroyed in August 6th by the bomb.Look at this picture. This is the Atomic Bomb. We call this building the Atomic Dome.
7 Reading practice :
Screen に単語をフラッシュカードのように提示して発音練習の後、Good, Excellent, Super と教師が評価するのではなく、予め録音された評価てあり、今発音した生徒の発音の結果とは関係なく、機器に任せるのは一体何だろう!!滑稽に思えるのは私だけでしょうか! 教師の役割は英語教師でなく、授業管理者と成り下がってしまう!生徒の努力に血の通うう評価をして欲しい。ここでも、先程指摘した「教材のデジタル化は効率1点だけを念頭に置いた授業優先し、何の疑問を抱かず授業をすすめようとする姿勢に。」憂いとか危機感を感じる!
改良点:
ではどうしたらいいでしょう!丹伊田先生の工夫は?
Buzz Reading :
隣の人に読んで聞いてもらう活動は同時に読むのではなく、相手はしっかり聞いて、内容を伝えることが出来るような読み方しているかを評価できる活動と工夫してもいいと思う。普通は、buzz reading の後に、individual reading として、教師が評価する。ここでも、
田口徹先生の指導が参考になります。
最後に:
教師の声は多少平坦であったが、明瞭で、声もクラス全員に聞こえる音量でした。いろいろ細かい点まで指摘しましたが、自信を持って、更に授業力に磨きをかけて下さい。
長 勝彦