第236回 太田裕也先生の授業(中学)

日時:平成28年2月27日(土)14:00-17:00
場所:都立両国高等学校附属中学校2階講義室2
発表者: 太田裕也 先生
【太田先生より】 八王子市立第六中学校の太田裕也です。現任校4年目で1年生を担当しています。 授業は少人数で全学年持っており、今回の授業は2年生のto不定詞・本文内容の導入です。昨年度よりInputを増やすのと、Reproductionにつなげる目的のため、本文のExplanationを英語で行っています。英文のParaphraseや単語のDefinitionを生徒の負担なく行うことが授業の課題です。授業の全体的な構成についてもご指導いただければと思います。当日は、色々な視点でたくさんのご指導がいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

研究会の記録 ※(   )内は太田先生の答え
新出文型のOral Introduction
・不定詞の導入がI like to ~でずっといくのは不自然な感じがあった。(教科書に引っぱられすぎて寄ってしまった)
・導入直後にWhere do you want to go?を使わせるのは、ハードルが高すぎるのでは?ChatでやったFillerを使えば良いのでは?(この1時間で全てを定着させようとは思っていない)
・Where do you want to go?の返答として、I like to ~はおかしい。I want to go to ~が自然。
・生徒たちのリアクションが日本語になってしまっているので、英語で言わせられると良い。(現在改善中)
・Power Pointを使っての導入は、生徒が引きつけられていて良い。
・導入→日本語の説明→ペアワークという指導手順にしたのはなぜか?(意味が分からないままリピートさせるのに抵抗があるので、いつもパタンプラクティスやアクティビティの前に説明している)
・ペアワークでは、机を移動させたり立たせたりした方が良い。
・生徒たちがもう少し慣れてから言わせた方が良い。(もう少しリピートさせてから活動させれば良かった)
・I want to go to ~にプラスワンさせたのは、自由度があって良い。
・実際にこれから起こることを話題にしたのが良い。 ・先生のプライベートを見せると良い。
・もう少し既習の英語を使った方が良い。
・Oral Introductionのスクリプトを書いているのが素晴らしい!先生のライティング力がつく。

教科書本文のOral Introduction & Explanation
・指導計画について、単元第1時は、単元そのもののイントロもあった方が良い。
・単元の目標や本時の目標が書かれてあると良い。
・Oral Introductionの中で、新出語句にも触れると良い。
・外来語の発音に注意する必要がある。
・Listening PointとReading Pointの両方を入れたのはなぜ?(Listening Pointは会話なので入れた。Reading Pointは2年生なので読ませたいから必ず入れるようにしている。) ・Explanationは、導入段階でやるには細かすぎるのでは?
・途中で日本語が出たのはなぜ?(生徒の反応を見て切り替えた)
・事前の準備が素晴らしい。
・CD Listeningは途中で切らず、最後まで聞かせた方が良い。
・教師が一方的に話していることが長い。教師の褒め言葉で、生徒は何ができたかわかる。
・Listening Pointを与える代わりに、聞こえた単語を生徒に挙げさせて、Oral Introductionに使えるキーワードのみ板書していくという方法もある。

教科書の音読
・チャンクごとに始めたが、とりあえず一文ずつでやったあとにチャンクに区切ってもよかった。
・Overlappingの位置・目的は?(目標提示としてやっている)
・Explanationの目的は?(意味が分かった状態で音読させたい)
・全体的に生徒の音読の声が小さい。意味が分かっていないからなのか、単語に不安があるからなのか?文字と音を結びつけるだけの音読ではなく、二人の会話の面白さという内容が分かった上での音読がさせられると良い。
・Buzz ReadingとIndividual Readingの意図は?(Buzzは一人で正しく読めるように、Individualはそれができたかのチェック)
・音読に入る前に、教師がどれだけ指導をするかが大切。Buzz Readingでは、“この生徒”が“このくらいまでできるように”がOKかどうかを、机間指導をしながらチェックをし、フィードバックをする。
・英語の授業は、家に帰ったあとに教科書を開かせるようなものであるべき。せめて、自力で音読ができるようにさせる。 ・予習をさせている?(させていない。単元のまとめで和訳は配っているが、この1時間でわかっているのは半分くらい。)
・Buzz Readingでは、1分間での目標回数があった方が良い。(スピードよりも内容を意識させたいので、設定していない)

山本先生より
・生徒を引き込む力をもっている。生徒たちは先生の話をよく聞いてよく動いている。 ・気になったことは、ゴールについて、書く活動について、ワークシートについて。
・ゴールは、少し文法にとらわれて偏っている。この単元が終わるとこの力がついている、というのがわかると良い。何か一つの頂点を目指してやっていくと良い。
・書く活動は、かなり詰め込んでいて意欲的である。生徒が何のためにやっているのか理解しているかは疑問。機械的に流れに乗っているだけでは? ・音読は隣の人に聞いてもらうと、意味にフォーカスさせられる。
・時間配分のバランスを考えると良い。この1時間は、単元全体を見通すことに時間を使っても良いのでは?
・不定詞と動名詞の区別について、どこかで触れる必要がある。
・ドリルは文型に慣れさせるためなので、既成のものを使っても良い。全部オーセンティックにするのは難しいので、最終的なアウトプットは自分のことについてさせる。

杉本先生より
・音読の声が小さいのは、自信がないから?教科書を読むのは歌詞を覚えるのと一緒。リピートを徹底的にさせる。単純な練習の時間がもっとほしい。
・不定詞の練習について、単純な練習は素材に気を付ける。
・単元の評価規準は、“不定詞を使って…”としてしまうとそれにしばられてしまう。やらせたいと思っていることと、言わせたい表現のギャップをどう埋めるか?
・自由に発言できるスペースをどこかで作ってあげると良い。少しずつでも毎回の授業で言わせていれば、少しずつ言えるようになっていく。
・最初のChatはもっと自由にさせても良いのでは?
・“わかる”は何をもってして“わかる”のか?全訳はハードルが高い。あまり細かいことにこだわりすぎない。

長先生より
・one word, one meaningの提示でよいのか?場合によっては危険。
・文法の定着は、“今日”から長い時間をかけて…というイメージで。他教科はタイル貼りだが、英語は漆塗り。運用できなければ定着したとは言えない。
・太田先生のパワー、声が素晴らしい。

(文責 壽原友理子 世田谷区立三宿中学校)

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