第237回 杉本薫先生の授業(中学)

第237回英語授業研究会

発表者 両国高等学校附属中学校 杉本 薫 先生

テーマ
「新学期の始まりに」…3年間の指導の終えて見えるもの
杉本先生が2012年~2014年度の3年間教えた生徒の最後の授業での姿から、そこに行き着くための指導について次の3つの力を軸に発表いただきました。
英語の授業を通して身につけて欲しい力
・英語で発信する力
・ひとりで学ぶ力
・自分の夢や将来を語る力

1.英語で発信する力
言語活動=発表して、受け止めて、考えること
×原稿を覚えて、発表して、終わりではない
よいプレゼンテーションをするためには、よい聴衆を育てることが大切。
聞いてくれる人がいる安心感を持たせてあげる。
場数を踏ませる。両国高校附属中では、レッスンごとにプレゼンテーションをする。

【実践例】
NEW CROWN 3の最後のレッスン”English for Me”を題材に、生徒一人一人が英語と自分の関わりを発表した。
・2015. 3.13 English (生徒ビデオ)
・2016. 3. 14 English for Me  (生徒ビデオ)
【杉本先生からの投げかけ】
「最後のプレゼンテーションで、生徒がどんな言葉を発信してくれたらいいなと思いますか」

2.ひとりで学ぶ力
評価基準と評価の材料(場面・方法・頻度)を生徒に提示することで、生徒自身が自分の必要な学習に気付ける。
3年間同じ形のものを使うことで、段々と理解し、自分の学習に必要なステップを積み上げていく。
教師は、グランドデザインを達成させるためのステップを構成する。
参考:「基礎英語」共通CAN-DOは3学年共通のものを使用し、学年を追うごとにレベルが上がっていく。

【実践例】
・2016. 3. 9 中学一年生への指導(学年末考査のフィードバックのスライド)
・評価についての補助資料(生徒配布プリント)
・1年間の学習を終えた生徒の言葉(生徒へのアンケート)

【杉本先生からの投げかけ】
「今年の生徒に何が出来るようになっていてほしいと思いますか。グランドデザイン=3年間の指導目標としてのCan-doを一つ考えてください」

3.自分の夢や将来を語る力
学び続けること。継続する学び。
英語力の基盤は、「なんとなく」できること。

【実践例】
・2015. 3.13 Last Message (最後の授業で杉本先生が生徒に贈ったことば)
“Window” から “Door”へ
・『13日の金曜日に終わった英語の授業から』 (学年通信)

【杉本先生からの投げかけ】
「みなさんが最後の授業で生徒に伝えたい言葉やメッセージを一つだけ教えてください」

4.質疑応答
Q 教室の中だけの英語で、どうしたら「伝えたい思い」を持たせられるか。
A(杉本先生)
伝えたいメッセージのハードルを上げる。例:平和宣言、人種差別などを題材にする
日本人英語教員も授業で英語しか話さないようにする
A(山本先生)
「話したい!」という思いを育てたり、「伝わった!」 という経験をたくさんさせたりする
A(鈴木先生)
言いたいことが教科書レベルの英語では言えなくなってきている生徒には、サイドリーダーをたくさん読ませている

5.最後に
先生の方に「たどり着かせたいゴール」があれば、1年間のスタートの仕方が変わってくる、かも。
英語の授業に関する夢を、教師同士が語り合える環境を持とう。

(文責 鈴木悟)

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