第245回 山本崇雄先生の講演
<本日の講演>
テーマ:「教えない授業」が目指すもの
~授業をデザインする>>>人生をデザインする~
講演者:山本崇雄先生(都立武蔵高等学校・附属中学校)
都立両国高等学校附属中学校での最後の6年間(中1〜高3)の取り組みを発表していただきました。
- 今の日本の学校教育に対するモヤモヤ感
- An animated short film “Alike”
学校教育→「座りなさい」「これをしなさい」それができる生徒を育てればいいのか?
- Design for the other 90%
「誰かのために」デザインすることの素晴らしさ、授業の核
- 内山節(哲学者)の時間論
戻れない時間(直線の時間)vsもう1回戻れる時間(循環する時間)
- 目指す授業・育てたい生徒像
- 一番美味しい料理は何か?それはなぜか?
村上信夫「この世で1番美味しい料理は、お母さんの作る料理。「想い」「愛情」を注がないと美味しい料理はできない」→授業も同じ
手法に走りがち
- Under the Same Sky
伝えたい思い、英語で表現する機会
- 生徒の主体性・多様性を育む魔法のレシピ
(1) 英語の授業でのルール
Everyone should…
1 Listen, speak, read, write and move.
2 Enjoy making mistakes.
3 Say “Thank you” when your friends do something for you.
(2) Warm-up
- 英語のたてよこドリル(正進社)
(Pair Work)
A: 番号を言う
B: その番号の文を言う
(Read & Look up)
A: 番号を言う
B: その番号の文を確認する
A: Look upと言う
B: Aとアイコンタクト
A: Say it.と言う
B: その番号の文を言う
(Reading Race)
ペアと面と向かう
2人で奇数番号の文を言う
早く言い終わった人はドヤ顔で待つ
(Reading Relay)
ペアで交互に読んでいく
読み終わったペアはドヤ顔で待つ
- キクタンEntry 2000 (アルク)
(Callan Method)
A: 文を2回言う
B: その分を言う
A: Bが言えなかったら次の単語を言ってあげる
(Back Translation)
A: 英文を言う
B: 日本語を言う
A: 英文を言う
(Credit Roll Reading)
A: 最初の文を言う
B: 次の文を言う
交替する際にハイファイブする
- シンプルな教材は様々な使い方ができる
- 授業の最初に行うと脳が活性化されてその後の授業展開が楽になる
- たくさんのアウトプット
(3) 教科書の調理法
① Guess Work (Think-Pair-Share)
Think: 提示された絵の中にキーワードを書き込む
Pair: ペアで質問をし合ってキーワードを増やす (3-4回繰り返す)
Share: クラス全体で共有する
② Big Questionの提示
- 答えのない質問
- Big Questionに答えることがレッスンのゴールになる
③ 4 corners (Jigsaw)
ペアやグループで違う情報を読み、相手に伝える
④ Sight Translationの利用
- Small Teachers
発音指導をする前にペアで音読練習させる
リピートする生徒は教科書を見ない
読めなくて当たり前
家庭学習の際にCDを聞くきっかけにする
⑤ Question Making
- 本文に関する質問をふせんに書く
- 他の生徒が作った質問に答えていく
- 良い質問にはステッカーを貼る
⑥ Picture Drawing (Read & Draw / Listen & Draw)
- 読んだ・聞いた内容を絵にする
- 自分が理解したことを絵にして人に説明する
- ペアでの活動後、絵・プレゼン・英語など相手をほめるコメントをする
- 生徒に配るピクチャーシートが最終的に白紙になる
⑦ Oral Presentation
- Retelling
- My opinion
- 教室の分割 – 2人同時発表
- 最後の授業
- 生徒による授業
- 最後のテスト
- 近況報告
- 中1:外に出て写生 消火器・タンポポ・てんとうむしなど
- あなたが今、試験を受けているキャンパスに関して、気づいたことを一つ選び、それについて60~80語の英語で説明しなさい。(2017東京大学)
すごすぎて言葉になりません。どんな生徒を育てたいか、そのためにどのような授業をしていくのか、山本先生の「想い」や「愛情」が詰まったお話を聞かせていただきました。今の自分の授業は、生徒の人生につながっている、その責任をしっかり感じて授業を作っていかなければと改めて思いました。手法の真似ではなく、山本先生のエネルギーや理念を引き継いで、また来週から授業に向かおうと思います。
お忙しい中、たっぷりお話を聞かせていただきありがとうございました。
(文責:都立両国高校附属中学校 山中悠香)