第246回 川崎綾乃先生の授業(高校)

授業者:都立武蔵野北高等学校 川崎 綾乃先生

司会:山本 崇雄

長先生

  • おかげさまで246回を迎えられた
  • 元々は中学の先生と大学生で始まった研究会が現在では高校の先生も参加するようになって中高連携ができていて嬉しい
  • 小学校英語が教科化になる。小中高連携が鍵になってくる。

 

川崎

  • コミュニケーション英語を担当している。英語で授業をしているが、他の教師は訳読。
  • 中学時代に話すことは慣れていない生徒が多い
  • 定期考査は文法問題と和訳が出題されてしまうため、(他の教員が作成)レッスンの最後は和訳と文法説明の時間に充てている
  • 見てもらいたいポイント:
    • 授業の流れと目標が一致しているか
    • リプロダクションをするために十分な指導ができているか
    • 教員の補助のあり方(十分なのか、不足しているのか)

 

<導入>

  • フラッシュカード
    • 目的はなんだったのか? — 新出単語で確実な定着は難しい
    • 単語の練習を発音練習させるのであれば、音読の前で
    • フラッシュではない(単語が手で隠れてしまう)
    • 初見の助けなのであれば、発音までさせる必要はない
    • 単語の推測の機会が与えられていない
    • 長い・飽きる
    • 高校でフラッシュカードは
    • 1word-1meaningでいいのか、考えた方がいい
      • 単語を見て日本語を書くという小テストが全クラス共通であるため、目的が曖昧になってしまった
      • 目的は初見で読む際の手助けにさせるためであった
      • 家で練習が難しいので、授業の中で練習をさせたかった
      • 初見で読んだ後に会話練習があるため、その時に使えるように発音練習をさせた
    • 導入(問題—答え合わせ)
      • 1問毎に質問—答え合わせができるのは賢い生徒だから。
      • 質問をスライドに出しておいて自由に話せさせてもいいのではないか?
      • Greetingは? − 英語の授業は英語でのきっかけにしてください
        • 日本語で行なっていた → その日に話せる話題でGreetingをしたらいいのではないか?

 

<展開1>

  • make a prediction活動
    • 想像的にするのであれば、fill in the blanksはいらないのではないか
    • 全てに正解ありき。答えに自由度がない
    • 長文を読む前に答えを先生が言ってしまっている
    • 「教科書を」教えているのか、「教科書で」教えているのか。教科書を超えた質問は?
    • コミュニケーション能力の「活用」ができていないのではないか?
    • プリントの絵が
    • 自由度をかなり縛ってしまっている(文型まで)
    • 「大文字」だと気づいてもCapital letterのCを出してしまってしまったために逆に言えなくなってしまったのではなかった
    • センテンスフレームは意見を交換する時には有益だが、今回は縛りになってしまった
      • レールを敷きすぎてしまっていると反省
      • 複雑な質問をする時はプリントを使っている→ヒントが逆効果になってしまっていることに気づけた
      • 写真でもいいのかと思った
      • セクションは教科書を教えているのではないかと思った
      • 学期毎にスピーキングテストを行なっているので、その時点では「教科書で」教えていると思っている

<展開2>

  • 音読・retelling
    • retellingに自由度がない(教師のスライドに縛られてしまっている)
    • retellingの内容に対してどのように生徒を感じたのか・考えたのかを伝えるべきなのではないか→深い読みへの導き
    • 言語面でのフィードバックは行うのか?文法等→やっている
      • 評価基準はスピーキングテストで示している
      • 自分の意見を言うークリエイティブ(高いレベルの生徒)
      • 本文の暗記で終わってしまっている
      • 原稿を見るな、とは言っているが、言えなくなってしまう生徒がいるのでスライドを提示している
      • フラッシュカードは実は生徒の評判がいい
    • 授業の最後にretellingまでやっているのは素晴らしいが、ちょっとハードルが高い
    • 前時の復習としてretellingを行う方がハードルは低い
    • くじで発表生徒を選ぶ→生徒は人前で恥をかかせてはいけない・生徒同士で練習させてから指名もしくはボランティアを募るべき
    • 自分の英語を使って表現活動はするべきである(教科書の英語をそのまま使うのではなく)
    • 表現活動には2つある。「スピーチ」と「やりとり」。その両者が含まれる授業の方がいいのではないか
    • 音読指導−
    • CD聞かせる:これは生徒にとって難しい
    • 音読の手順
      1. フラッシュカード(単語発音確認)
      2. モデルリーディング(教師がモデルリーディング)
      3. Read after teacher
      4. Buzz reading(机間巡視)−生徒は自分のペースで読む・生徒のチェックを行う
      5. individual reading – 皆の前で読む・一人ずつ読む
      6. shadowing

 

<Q&A>

  • フラッシュカードのタイミングはいつ?
  •  何の目的のために使うのか自分でわかっていないといけない。それで解決するしかない

終始落ち着いた雰囲気で、英語の指示も的確でした。生徒たちも川崎先生を信頼して授業を受けていると感じました。川崎先生は大変勉強熱心で、海外英語教員研修にも参加され、授業の随所に生徒を主体的にさせる工夫がちりばめられていたと感じます。一つひとつの活動の目的と育てたい生徒像が一致したとき、生徒たちはさらに主体的に学び始めると感じました。

文責 布村奈緒子 両国高校 山本 崇雄 武蔵高校

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