第262回 杉山翔先生の授業(中学1年)
授業者:都立両国高等学校附属中学校 杉山 翔先生
司会:宮本 真吾(両国高校附属中教諭)
杉本先生より
・海外ドラマのフレーズで学習してきた経験を、本にまとめ出版した出口武頼くん(両国卒業生)
・マイフレーズブックが元のネタ(中2から)
・海外ドラマからフレーズを抜き出す
・中学での学習スタートで、コツコツ続け、海外経験もほとんど無い中で、スピーチコンテストで東京1位、センター試験満点、現在東京芸術大学所属
長先生
・262回を数えるこの研究会、元々は語彙研究で始まったが、「明日の授業をどうすればよいか」という声に応える形で、始まった。
・授業は教師の命
・高校や小学校の先生の授業を研究する機会も増えてきた。中高連携の上で、よい傾向だと思う
・この回から、語研のパーマー賞受賞者出てほしい
杉山先生
・初任校で、3年目(2年目まで、高校の英語表現)
・今年度より中学1年生担当
・前半のルーティンワークと、後半の教科書を用いた新出単元の指導
<授業前:Charo>~<導入:song>~<挨拶>
・Charo:授業前5分から
Q-Aの理解度?→反応があればよい。Is Candy correcting flowers? で反応無かったら、質問をIs she correcting stones?などのように変えて反応を見るようにする。
Dictionary Bingoの単語は、エピソード内の印象に残る使われ方をしていたもの
授業前から、動画が始まっていて英語の世界に引き込んでいく。まだ実践していない先生は、英語の教室を準備していくことが必要(長)
・Song:Blowin’ in the wind
選定ポイントとしては、先生が聞かせたいもので、文法的な着眼点で耐えられるもの
休み時間の雰囲気を落ち着かせられる効果がある
情意面での波及効果を期待している
・Greeting挨拶
What is the date today?なぜ日付を尋ねるのか。→What is special about today?
今までやっていたからやる、というのでなく
[コメント・質問]
・歌の選曲 難しさはどう考えている?
→その時点で意味を理解して無くても、後々分かってくることもあるのでは
<ルーティン4:BINGO>~<ルーティン5:Pairwork>
[コメント・質問]
Map Talkで、会話をつなげようとしていた。フィードバックはどのようにしているのか。
→後で言い直したり、リピートさせたりすればよかったかも。会話の途中ではコミュニケーションが成立している以上は、途中で遮ってはない
ボランティアで同じ生徒が出てしまうと、どうするか
→自分から積極的に学習の機会を得ていくことを大事にしたい、だから1年次は続けていく。伝えたいことを一所懸命している姿勢を見せたいので、必ずしも英語を流暢に話すことをモデルとしない
ペアでうまくできるところと、そうでないところはどのように工夫しているか
→教室の席替えと連動して、ペアを変えている。トークがBGM中途切れないかどうかを確認している
BGM音が大きすぎて、生徒の発話が聞き取れないこととかあるか
→ぎゃくに、BGMに負けないよう声を張り上げるよう指導
クイックレスポンスについてこれない生徒のフォローは
→3回目くらいには、できる生徒が増えてくる
<ルーティンについて>
30分かけることをどう思うか?ルーティンとは繰り返し。それ以外の新出単元の指導との違いとは。ルーティンは毎日やる。それはなぜか?一番大事だから。一番習慣化させたいから。つまり身についてしまう。知識以前に大事なこと。せめて授業の中でも。毎日続けることの大事さ。知識理解とそれ以前の比率は、問題意識を持つべき。ルーティンとして身についたことが、後で知識・理解として補強される。
教員側で気をつけること:なぜルーティンをやるのか、説明できること。さらに常にアップデートしていく。配列、話題など。なぜやるのか分かっていれば、やり方が見つかってくる。(杉本)
<展開①:教科書review>
音読などinputから、オーラルプレゼンテーションへのoutputの橋渡しに工夫が必要
Teacherより先にstudentsが音読する活動
→生徒がうまく読めないところをbuzz readingの前にモニタリングしておく目的
[コメント・質問]
音読練習量が少ない。手を変え品を変え(ペアを変えたり)して、何回もやって、単元最後のword orderがスラスラ言えるように。全員が達成できるように、音読指導を丁寧に。そのために単元の指導計画を変えた方がよい。ルーティンとの配分の検討も。(杉本)
音読では、センスグループ、アイスパン、ブレスグループを意識して間違えずに読めるよう指導していく。中3でアイスパンは7語
[終わりに]
最初反応のいまいちだった生徒が、授業内でどんどん反応がよくなっていく様子が見られました。これは、杉山先生の “Big voice.”や “Good job.”などの声かけ、豊富なインタラクションがあったからでは無いかと感じました。先生が日頃から生徒の学習意欲を高める声かけや教材の工夫があるからこそだと思います。今回の研究会を通じて、ひとつひとつの活動の目的を明確化すること、さらには、単元の指導計画を立てる際、ルーティンと教科書指導のバランス、特に中1においては音読指導をよりきめ細かくするための時間確保が大切になることを学ぶことができました。大きな流れとして、指導目標につなげていく言語活動を設定・配置の工夫をしていくことで、生徒たちはさらに主体的に、対話的に深く学んでいくと感じました。
文責:宮本 真吾(両国高校)