第225回 鈴木悟先生の授業(中学)

<本日の授業について>
対象:東京都立両国高等学校附属中学校第1学年
授業者:鈴木悟先生 教材:New Crown 1
単元:My Treasure~自分の考えをまとめる~、Lesson 6 My Family in the UK
単元の目標:
○My Treasure 1) 「自分の宝物」について実物などを提示しながら宝物の理由を含め、まとめて発表することができる。 2) 「自分の宝物」の発表を聞いて、その概要を聞き取ることができる。
○Lesson 6
1) 教科書の本文を中心とした4技能に関わる言語活動を通して、三人称単数現在形とその疑問文表現の基礎事項の理解と定着を図り、(Lesson 6以降で)活用できるようにする。その後の活動で、三人称単数現在形を用いて表現したり、相手に尋ねたり、適切に応答できるようにする。
2) 教科書の内容についてペアで会話したり、聞いたり、読んだりして、内容を正しく理解することができる。また、理解した本文の内容に即して正しく音読することができる。 3) 三人称単数現在形の文構造を理解する。

<本時の展開>
1. Greeting (1 min) 挨拶をする。
2. Bingo (8 min) Word Flashを使って単語の発音を確認してからゲームを始める。ドラムの音楽に合わせて読み上げられた単語に印をつけ、5本そろったら”Bingo!”と言う。 ゲーム後のMap Talkでは、いきなり”Where are you now?”と聞くのではなく、”Good morning. How are you doing?”と挨拶から始める。日本語では「今日は調子どう?」といった会話は生徒同士ではあまりしない。英語だからこそできる会話を取り入れているとのこと。また、その日の授業のペア学習のパートナーをお互い気遣う姿勢をたせたいとのこと。
3. Song (3 min) 音のつながり、正しい強勢、リズムなど基本的な英語の特徴に注意して歌う。今月はThe Beatlesの“She loves you.” 。1カ月に1曲のペース。左側に英語の歌詞、右側に日本語の歌詞を載せたプリントを配布している。1年生では歌詞の意味や文法の説明等はあまりせず、音として表現や語彙を処理できることを目指している。
4. Speech (5 min) My Treasureについてのスピーチを3名の生徒が行う。聞き手は発表者をしっかりと見ながら聞き、リアクションをする。発表者は聞き手の反応を確かめながらスピーチする。   中学1~2年の語彙力で伝えられる内容は限られているため、生徒が伝えたい内容と実際に伝えられる内容には差がある。背伸びをせず、辞書を頼りすぎずに、相手に理解してもらえるスピーチについての議論が出ました。 話し手と聞き手の関係では、聞き手がきちんとリアクションをすることで話し手の緊張をやわらげ、安心感を与えることができます。また、難しい表現を自分のことばでパラフレーズしたり、絵や写真を提示することで聞き手の理解を促したり、という工夫をすることが重要です。 また、原稿における教科書のreproductionの割合とmy opinionの割合は、学年が上がるにつれてmy opinionが多くなるように指導したい、という話が出ました。
5. Chat (6 min) 複数あるトピックの中から自分で選び、1分間ペアで話す。 1年生のこの時期のchatは、言いたくても英語で言えないことが多い。また、I like soccer.対して、Why do you like it?と質問されて、その答えに困ることもある。自分の考えなかなったり、英語で言えない体験をすることで、その後の授業で集中して口頭練習をするようになるとのこと。 Map TalkやSpeechなど共通部分の多い活動に吸収されて、もっと短くすることで教科書本文に割ける時間が長くなるという指摘が出ました。
6. New Material (17 min) 既習部分の絵を見てペアで説明し合う。その後、新出部分の絵を見て、内容を想像しながら説明し合う。その後、教科書を閉じたまま会話文を聞く。   今回のLessonでは今話題のScotlandやあまりなじみのないbagpipeが出てくる。生徒の興味を引くため、本文の導入前に独立選挙の新聞記事を読み、bagpipeの演奏を聞くことをしたそうです。予備知識を与えることで、本文の内容理解も深くなり、自分の考えを持つようになるとのこと。
7. Reading (10 min) Flash Cardを使って単語の読みを確認する。Model Reading (1回)、Chorus (2回)、Buzz 、Individualと続ける。   活動のモチベーションをどう高めるかという話の中で、生徒が教科書を開きたくて仕方ない気持ちにさせるにはどうしたらいいか、また、Repeat after meをすることで、「間違えて読んではいけない」という意識を生徒に持たせてしまっているのではないかという意見が出ました。
8. Greeting 宿題を配り、挨拶をする。   全体を通して英語で授業が進められていて、とてもスピーディーに展開しています。生徒が英語を話す機会・時間も非常に多く、皆積極的に発話していました。身近な話題やLessonに関係のある話題、既に知っている情報から新しい情報へと流れがあり、生徒も話しやすかったのではないでしょうか。 鈴木先生は、クラス全員が活動に参加できる雰囲気や、話し手と聞き手の良好な関係、会話の膨らませ方などに重点を置き、生徒がお互いに学び合い高め合う授業作りをされています。ペア学習でのやり取りは、制限時間を過ぎてもまだ話したそうにしている生徒を見て、生徒の英語に対する意欲や、話したい・伝えたいという強い気持ちを感じました。 50分の中に大事な要素がたくさん詰まっている授業を見せていただき、ありがとうございました。 (文責 都立両国高等学校附属中学校 山中)

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