第212回 金子先生の授業

2月22日に行われる東京都中英研研究部研究発表会で授業を公開する予定の金子健次郎先生の授業をビデオで研究しました。 まずは、金子先生の自己紹介です。 『大阪出身。昼ドラのアシスタント・ディレクターとして働いた後,八王子市の教員となります。その後,町田市,品川区,日本人学校(ベルリン),大田区 (大森第七)、そして現在は田園調布中学校です。 授業で大切にしていることは,①わくわく感②クリエィティヴ③笑顔の3つです。 要は「楽しませたい」ということです。そして更に大切にしている,あるいはそ うしたいことは,「つなげる」ことです。単語と単語,文と文,生徒と生徒,教師と先生,海外,世の中など物質的なことも精神的なこともつなげることができ る授業にしたいと思っています。 2月の公開授業は、中英研の研究部員としての立場で発表しますので,研究部が 長年研究している「語い」に関する実践が含まれます。今回は『辞書指導』が テーマです。辞書を引く場面は1,2回程度ですが,生徒を俯瞰して見ていただ ければ,今の授業にその前までの『辞書指導』が生きていることがお分かりにな ると思います。』

<研究会レポート>
 東京都中英研研究部で長年研究をされている金子先生の授業は、随所に様々な活動を意欲的に取り入れた授業でした。 始業のチャイムとともに行うQ&Aでは生徒が積極的に声を出し、よく訓練されて いる様子がうかがえました。今後、1 minute chatにつなげるためには、形式的な質問と答えでフォームのみを覚えさせるのではなく、内容のあるもので会話に 近づけていく工夫をするとよいのではないかという意見が出されました。 その後、歌、生徒に描かせたイラストを使った自作の「アクションカード」によ る動詞の口頭練習に続き、1 minute chatをしました。1 minute chatでは、 Fillerをたくさん取り入れて使わせるなど、自然な会話になるような工夫が見ら れました。生徒たちは積極的にFillerを使って話そうとしていましたが、この段 階では会話をつなげることよりも話の内容に意識を置かせるようにし、Fillerは 少しずつ導入する方がよいのではないかという意見も出されました。 問題集を使っての前時の復習に続き、教科書本文のオーラルイントロダクション が行われました。生徒を全員立たせ、教科書の内容や登場人物について先生の質 問に答える形ですべての生徒に英語で説明させるなど、生徒に英語を話させる工 夫が見られました。その後、内容理解をジェスチャーを使って楽しみながらした り、新出語の練習ではフラッシュカードでフォニックスの指導をしたり、辞書を 使って語法を確認したり、生徒が興味をもって取り組める工夫がなされた活動が たくさん盛り込まれていました。辞書指導については、どの場面でどういう目的 で辞書を引かせるか様々な意見が出され、辞書指導を通して自立した学習者を育 てることができることがあらためて実感できた議論となりました。 授業で行うあらゆる活動について、生徒にとってはどうなのか、ハードルが高い のか低いのか、興味・関心をもって取り組んでいるのかを考えたうえで、50分という限られた時間の中で、何を削って何を残すのか、目の前の生徒たちにとっ て必要なことを見極めることの大切さをあらためて考えさせられる研究会となり ました。(壽原友理子:世田谷区立三宿中学校)
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