213回都研究部公開授業のビデオを使って

第213回英語授業研究会 3月2日(土) 2月22日に行われた東京都中英研研究部研究発表会での金子健次郎先生の授業をビデオで研究しました。30名以上の参加者が集まり、活発な議論ができました。今回は活動ごとに区切り、グループで討議する形で研修を進めて行き、参加者の皆様が発言しやすい工夫をしました。いかがだったでしょうか? 研究会レポート 1 帯活動(3分) 自作のアクションカードを用いて、一般動詞の過去形を使った文を作ります。まずクラス全体でカードに書かれている動詞の過去形を練習した後、絵を提示し、それを英語で説明します。次にペアを作り、先生が提示する絵をどちらが先に言えるか競争します。授業の当初から生徒がよく声を出し、積極的に活動している様子がうかがえました。 【グループ協議で出た疑問点・改善点】

  • 文字を見せたあと絵の説明をさせるのではなく、絵の内容を言わせたあとに文字を見せた方がよいのではないか
  • 動詞に対応する絵は適切かどうか
  • 同じ絵を使い続けることで、偏ったイメージが固定化されてしまうのではないか

2 文法の復習(10分) ワークシートを用いて、ペアで昨日何をしたかを尋ね合います。先ほどのアクションカードに出てきた動詞を使って活動を行うので、生徒は繰り返しそれらの動詞を練習することができます。“Did you cook dinner yesterday?”などの質問をペアで出し合い、 “Yes.”と答えた生徒をあとでレポートします。基本文を練習させるだけではなく、会話の最初と最後には “Hello.” “Thank you.” とあいさつをすること、face to faceを心がけること、などより普段の会話に近い状態でペアワークを行わせるよう指示されていました。 【グループ協議で出た疑問点・改善点】

  • 「積極的にペア活動ができている」の評価はどのようにやるのか
  • 練習時、疑問文では動詞は原形になることをしっかりと意識させるようにしたほうがよい
  • ワークシートが詰め込みすぎではないか

3 教科書本文の導入(8分) 教科書の絵を提示し、教科書の登場人物に関するQ&Aを口頭で行いました。全員を立たせますが、“Who is this boy?”のような簡単な質問から始めるので、英語の苦手な生徒も自信を持って答えることができます。その課(Lesson9)の内容だけではなく、Lesson1~8で学んだことを思い出して質問に答えようと努力する姿が見られました。その後、先生によるオーラルイントロダクションが行われました。絵を使って本文の内容を見事に再現されました。 【グループ協議で出た疑問点・改善点】

  • 前回の話が想起され、本時の内容とリンクさせられるような質問があったほうがよい
  • 先に答え終わった生徒の気持ちをどのように引きつけておくか
  • オーラルイントロダクションでは、先生による一方的な説明で終わってしまった。オーラルインタラクションにし、生徒とのやりとりの中で内容を導入できたらよかった
  • Australia の語源を辞書で調べさせるというのは、生徒の興味関心をひいてよかった。ただ、Australisが全員の辞書に載っているわけではなく、辞書引きさせる語の選定に注意が必要

4 新出単語と辞書指導(8分) フラッシュカードを使って新出語句の練習をします。先生の巧みなフラッシュカード使いにより(英語→日本語、日本語→英語、語句の一部だけを見せる、等)、生徒はテンポよく、何度も発音練習をします。辞書指導では、‘receive’ を辞書引きさせ、その派生語も確認しました。 【グループ協議で出た疑問点・改善点】

  • /f//v/の音に注意させたのはよいが、アクセントの位置がずれてしまっていた
  • すべての語句にジェスチャーをつけていたが、できるものとできないものがあるのではないか
  • 文字の一部を見せるとき、後ろではなく、前の3文字(3 letters)を見せるべき
  • 辞書引きは先生が語句を指定して引かせるのではなく、生徒が引きたいと思った語句を引かせるのがよい(やらされている感の減少)

  5 内容理解(5分) 6 音読(15分) 開本して、内容理解と音読練習をします。生徒は先ほどやったジェスチャーをしながら本文を読んだり、代名詞の表す内容や、省略されている部分に関する質問に答えたりしながら、内容理解を深めます。Chorus reading, Paced reading, Buzz reading, Read and look-upを行った後、ペアで会話文の音読練習をします。授業の最後には、数組の生徒が教科書をほとんど見ずに、本文の内容を発表することができました。積極的に発表しようという生徒が多く見られました。 【グループ協議で出た疑問点・改善点】

  • ジェスチャーは海外で使われているものや、外国の手話を用いたらどうか
  • ジェスチャーリーディングをすることでの弊害(音読練習をするときの姿勢、リズムが崩れる)
  • バズリーディングの位置(もっと前でもよい)
  • 内容理解の方法(Q&AやT/Fを取り入れてみては)
  • Paced-readingはとても難しいので、もっと練習を積んでからのほうがよい。上手に出来たらほめる
  • 暗唱までのステップが大きい

金子先生の授業は50分の中で様々な活動が取り入れられていました。それぞれの活動の意義を明確にし、いかに効果的にその活動を授業に組み入れるかを考えるきっかけとなりました。また、活動の区切りごとにグループ協議の時間があったため、より活発な意見交換ができたと思います。丹伊田里香(都立両国高等学校附属中学校)

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