第216回山中先生の授業(高校1年)

第216回山中先生の授業(高校3年生の授業)
平成25年6月29日 @都立両国高等学校附属中学校
授業者の山中悠香先生は、両国高校の卒業生で、教育実習も本校で行いました。実習前から本研究会に参加するなど、意欲的に授業改善に取り組んでいる先生です。授業研究会では初めて高校の授業を使った研修になりました。
山中先生の勤務する蒲田高校はエンカレッジスクールという、これまで力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、社会生活を送 る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的として作られた都立学校です。入学試験はなく、面接で選抜されます。高校で勉強をやり直したいという生徒も多く、そのため、入学時英語が苦手に感じている生徒も多いということです。その中で、高校に入って英語が好きになったという生徒もたくさんいるということで、山中先生の熱心な指導が伺われます。
<本日の授業について>
学年:都立蒲田高校第3学年
教科名:英語Ⅱ
教材:Surfing English Course 2 (文英堂)
単元:Lesson 8 On the Surfboard Again
単元の目標
1)教科書の内容を理解し、その内容を表すように音読できる。
2)教科書の内容を時系列で自分の言葉で再生できる。
3)積極的にコミュニケーションを図ろうとする。
本時の授業は全7時間の3時間目の授業。指導にあたっては、授業中の発話はできるだけ英語で行うようにしているそうです。また、書く、覚える等の活動を取り入れ、「教えるだけ」の授業をしないように心がけ、今年度からReproductionの指導も取り入れていらっいます。
<本時の展開>
1 Vocabulary Test (4 min)
▶全クラス共通のテストに取り組むものです。テストの前に大きな声で音読するなど、活発な印象を受けます。一方、授業との関連の薄い問題集からの出題は生徒にとってハードルの高い活動とも言えます。テストの意義やあり方は議論の余地がありそうです。授業のスタートとして、山中先生の元気な声で、生徒の切り替えもしっかりできているように見えました。
2 Greeting (3 min)
▶あいさつ、日付等の確認をします。ここでは、「今日は何の日」などの発展的な内容を加えるとスムーズなコミュニケーションになるといった意見が聞かれました。
3 Review (5 min)
▶前回の内容についての質問をして、理解を確認します。教科書の内容を表す絵があるとよりスムーズに復習ができるといった意見が聞かれました。
4 New Words (3 min)
▶フラッシュカードを使い、発音の練習と意味の確認をしました。フラッシュカード使う目的は大きく2つあります。1つはつづりと発音の関係に注目させる(これは音読の前にやると効果的です)2つ目は、意味の確認です。(この場合、英語と日本語が1対1のつながりにならないように気を配る必要があります)ここでは、意味の確認に重点が置かれていました。フォラッシュカードを使う目的と留意点について様々な意見が聞かれました。
5 Explanation (10 min)
▶構文的に難しいところを板書し、構造や文法、意味の取り方の確認をします。生徒は板書をノートに写し、構文の解説を書いて行きます。とても丁寧な指導でした。ただ、Explanationの位置はここで良いか。全てを丁寧に教える必要があるかなど、今日の授業の目標に照らして、整理することができそうです。
6 Reading Aloud (10 min)
1)英文にスラッシュをいれる
2)Chorus
3)Shadow
4)Buzz
5)Individual
▶シャドーイングの活動は難易度的に高いので、BuzzやIndividual Readingの後にした方が効果的だとの意見がありました。音読も次のReproductionにつながる意味では重要な指導段階です。
7 (12 min)
1)キーワードを言わせる→これがReproductionの元になります。
2)手本を示す。
3)ペアで物語の再生を行う。
▶先生が示した例を元に笑顔で練習する雰囲気が見られました。その場での発表だったので、前に出たり、絵を使ったり、変化を持った発表を経験をさせたらどうかという意見が出ました。
8 Comprehension Quiz (3 min)
▶本文に関する内容を質問し答えていきます。
9 Greeting
▶全体を通して、英語で授業を進めて行き、生徒はそれについて行こうというという学びの雰囲気ができていました。Reproductionなどクリエイティブな活動への関心も高いように感じ、可能性を感じます。これは、これまでの山中先生の生徒との信頼関係の上に成り立った指導の成果と言えます。公立高校で英語で授業を進める上での大変参考になる事例になったのではないでしょうか?山中先生は、教育実習中から、熱心に授業研究をなさっており、その姿勢が教員になられてからも続いており、大きな可能性を感じます。授業を公開することは、大きな学びになります。普段、中学の授業を取り上げることが多い本研究会ですが、校種を超えた学びがあることを気づかさせてくれるいい授業であったと思います。(都立両国高等学校附属中学校 山本)

 

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