221回 原田先生の授業

日時:2014年4月12日(土) 午後 2時から
会場:東京都立両国高校附属中学校 内容:中学1年生の授業

英語授業研究会221回。1991年9月から数えて23年目になりました。今回は原田博子先生をお迎えいたしました。授業は、東京都の研修センター主催の調査研究の一貫として行われた研究授業(主題「英語で表現できる実践的な運用能力を育成するための系統的な指導のあり方」)でした。初めて一般動詞が導入される課で、本時は6時間扱いの1時間目の授業。

(1)導入(Greeting/Warm-up/Presentation of the New Material) Greeting:ぺアで挨拶してから座る。教師がその後に、個に尋ねる。同時に、挨拶した相手のレポートをさせる。曜日・日付・天気を全体で確認する。 挨拶の後で、「今日の目的」を黒板に日本語で提示する。 Warm-up:生徒全員を立たせてラインゲームをする。曜日・好きな色・好きな天気などの質問を行い答えられた人がいる列は座っていく。復習を兼ね教科書のピクチャーカードを使ったQAを行い、he・ she ・Is she~?・Is he~?などを聴かせる。 一般動詞の導入(Presentation of the New Material): likeとplayとhaveの3つの動詞を使って一般動詞の導入をしていく。始めにスポーツの絵が描かれている7つの絵を黒板に貼って、それぞれ(カードに一つ一つ書かれた)3つの動詞をあてはめ、どの動詞が使えるか確認していく。Playのあとには、スポーツ名が入ることを理解させる。 同様に教科名の絵に、それぞれlikeとhaveとplayのカードをあてて、どれが言えるか考えさせ確認していく。言えると確認できた場合は口頭練習を行う。その後、What subject do you like?と全体に質問し、質問文を3回口頭練習した後、ペアになりお互い尋ねる。一般動詞を使って質問させることができたのは、小学校の頃から、聞いている単語・文であったりする。本課より前に、段階的に一般動詞を使った質問文を聞かせ、答える場面を作っていたからとの説明があった。 最後の7つの絵(持ち物)は、haveに続く語句を考える。T-shirt・camera・capなどの絵が貼られていた。 参加者からは、likeはオールマイティーに使えるのではないか。動詞自体のイメージを持たせたほうがよいのではないかという意見も出された。 長先生よりからは、導入では、いきなりその文法事項を導入するのではなく、それまでの授業で音を潜在的に頭に染み込ませて、音声では聞いたことのある状態にすることが大切との解説があった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(2)展開 ○Oral introduction of the story:原田先生が、教科書の登場人物の健になりきってスピーチをする。その後、ピクチャーカードを見せて、その内容を英語で確認する。 ○Explanation:本文の内容理解 教科書本文の大切な部分を日本語で確認する。参加者からは、黒板にin my bagを書いてinの意味を日本語で確認するより、イメージで理解させた方がよいのではという意見もあった。 長先生からは、I have an eggplant in my bag.など予想もつかないものを出すと、記憶に残る。生徒の裏を書く。生徒が考えを及ばないものを使う。意外性を授業の中で出すことを心がけると生徒も集中してくるとのアドバイスがあった。 この単元では、バックの中からけん玉がでてくることに意外性がある。 ○Reading aloud ①新出単語・フラッシュカード カードを使って新出単語の読み方を教えてカードをフラッシュ。次に、日本語(意味)を見て英語を言わせる。その後、日本語を見せて、その単語を含む、英文や句を生徒に聞かせて言わせる。書ける必要がある語は、英語を見せて空中に書かせて確認させた。 長先生からは途中、褒める言葉の表現をたくさん持っている方がよい。生徒は、気分が良くなる。フラッシュカードの日本語は、強烈に定着してしまう。低学年ではよいが、高学年では質問する程度で、カードの裏に書かない方がよいとの助言があった。文字に色をつけて、品詞の区別をする必要はない。それよりも学校でやるべきこと、先生にしかできないことがある。フラッシュカードの裏に日本語を書く場合は、その弊害を理解しておくこと ②教科書の音読 (Model reading/Choral reading/Buzz reading/Pair reading/Individual reading) (午後の授業ということもあり、生徒が眠そうな様子だったので)教科書を立たせて音読させる。この音読は、次の発表活動につながるものであったが、普段から英語を使わせているため、少ない音読練習でも生徒は音読することができていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

○ペアで発表練習(Preparation of the speech model and practice) 教師が再度、発表のモデルを見せたり、ビデオを見せてモデルを提示した。その後、ペアになり発表練習を行う。生徒は、持参した「自分の好きなもの」を使い個人、ペアで練習。ペア練習では聞き手は、気がついた点をアドバイする。 ○生徒の発表(数名が発表する) 参加者からは、 ・生徒の発表は、I have a book. と言っている段階で、生徒が本を見せているような状況はおかしい。 This is the book.で見せた方がよかった。 ・生徒に言いたいことがあるときは、破綻してもいいからやらせる。バッグの中から実際 に出す。生徒は、コミックを持ってきたことより、コミックのタイトルを言いたい。 ・生徒が発表したときは、英語それ自体よりも、人前でやったことを高く評価する指導の方が、その後につながる。 ・生徒に7実物を使って発表させたいとき、持ってきてはいけないものを持ってきた場合はどうするかとの質問もあった。   (9)振り返りカードへの記入 原先生から 「生徒からは、スピーチをして自分のできないところがわかったという振り返りがあった。 できない生徒もスピーチは頑張ろうとする生徒もいる。生徒の振り返りシートを見ると、先生にわかるようにがんばりたい、次回は頑張ると前向きな意見が書かれていた。スピーチは、英語が苦手な生徒も含め、生徒のやる気を高める。」   両国高等学校附属中学校の杉本薫先生からは、振り返りシートについて、その他の情報がたくさんでた方がよい。Can-doは、それが全員できるのが大前提。ハードルの高さが問われる。振り返りの項目は、少なくてもよいとのアドバイスがあった。   授業の最後のまとめとして長先生からは、「原田先生から学んでほしいこと」と題して、 以下のようなアドバイスがありました。 ・英語の先生は、英検の勉強している先生もいるが、毎回Teacher talkを膨らませて書いていれば、教師の英語力もついてくる。 ・振り返りカードの項目は、改善する必要がある。先生の授業の振り返りになるが、反面、分析や点検に多くの時間がかかるため、テータ収集が目的にならないように注意したい。 振り返りカードを使う方法もあるが、「今日は、授業で30回先生は質問したけど、24回以上質問した人は?」と簡単に行う場合もある。 ・授業の最後で振り返りカードを行う場合は、休み時間にかかってしまうこともあるので、帰りまでに箱に入れて帰りなさいと、郵便箱を設置しておく方法もある。振り返りカードを使う場合は、ポイントは時間をかけないことである。 ・いろいろな活動を行ったが、授業が混乱しなかったのはなぜか?参加者の人たちは自分なりに考えてほしい。クラスマネイジメントができていのはなぜか?元気な生徒を上手にコントロールさせていた。原田先生にその秘密を聞いてほしい。   本時のゴール(生徒の発表活動)を含めて、今回の授業は4月からの授業の積み重ねで成り立っていることがわかる授業であり、その大切さを改めて感じた授業でした。原田先生、ありがとうございました。

文責 両国高等学校附属中学校 鈴木 悟

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