第222回中学1年生の授業(壽原先生)

日時:2014年5月31日(土) 午後 2時から
会場:東京都立両国高校附属中学校
内容:中学1年生の授業
授業者: 壽原友理子

本日の授業者は、世田谷区立三宿中学校の壽原友理子先生です。Sunshine English Course 1のProgram3の授業で展開は以下の通りです。
(1) ウォームアップ ・あいさつ  曜日・日付・天気を質問する。30thのthの発音も丁寧に確認。 ・BINGO 1年生の初めで、音と単語の結びつきが弱い生徒もいることから、「単語―単語―はじめの3文字―単語」の順で、リズムよく読み上げていた。 長先生からは、1年生のこの時期はビンゴ全体で8分~10分かかることもあるが、ウォームアップであることから、最終的には3分を目標に指導していくとよいとの助言あがった。杉本先生からもリズムマシーンを使うと時間がかかるとの指摘もあった。 ・Song:Old MacDonald Had a Farm  本日は練習して10回目 歌の前に、歌詞に登場する動物の絵を示して、動物の名前とその鳴き声を生徒に言わせて適宜リピートさせた。 歌の最中にhere・there・everywhere などの箇所では、壽原先生がジェスチャーを示すことで、生徒は歌詞カードを見ないで歌っていた。1回目から1少しずつ生徒たちが言えることを増やしていく指導をしていた。 参加者からは、授業開始からここまで15分以上経過していたため、本題に入る前のオゥームアップとしては、時間がかかり過ぎではないかという指摘があった。 生徒たちは、歌う際によく声がでていて、10回目であることから、歌の前に絵を見て練習する活動は、省略してもよいのではないか、また、ビンゴと歌のどちらかを一方をやるようにしてはどうかという提案があった。 長先生からは、今の中学生は小学校から外国語教育が始まって、英語嫌いになってしまっている生徒もいる。教科書にはない、生徒の立場で歌の選曲しているのがよいとの発言があった。

(2)復習 ・新出言語材料を含む英文を言う(絵を見て、自分の好きな教科と自分のするスポーツ・楽器・ゲームをlike,play,を使って言う。)  壽原先生と教育実習生が分かれて、生徒33名に対して一人一人そばに言って絵を指して、英文が言えるか確認を行っていた。壽原先生と生徒が確認を行っている時に、他の生徒をどのように待たせるかが課題である。今回は、生徒同士で話をしている場面も見られた。長先生からは、一人一人でやっているやりとりを、全体で聞かせて、途中で他の人に尋ねるなどしながら緊張感を持たせてやることが大切との助言があった。

(3) 新出文型の練習 ・新出言語材料を含む英文を練習する(教師のあとに続いて単語・文の発音練習を する。その後、インタビュー活動をする。最後にplayを使って自分のことについ てワークシートに書く。)  ペアワークでは、出席番号で偶数と奇数に分けて、座ってインビューを受ける生徒と教室内を移動してインタビューに行く生徒を分けていた。2回に分けて実施し、座る側と立つ側が交代して行う。 ペアワークのあとに、全体で調査結果を確認し、自分のことを書いて、用紙を回収していた。両国高等学校附属中学校の杉本薫先生からはその場で集めなくても、全体や生徒同士で指摘できることがある。生徒に発表させて確認したり、隣りの生徒と交換しアドバイスをして直してあげてもよいのではないかという助言があった。また、長先生からは、壽原先生のようにプリントを配るときに、枚数が少なくして配布して、生徒にone more sheet!と言わせたり、列の最初の生徒に何枚の用紙が必要か尋ねたり、「偶数・奇数」という言葉を英語で使って語彙を増やしている点がよいとの指摘があった。 教育実習生を使って、生徒にインタビューをさせる。「総理大臣の一日」とリポートする。 生徒の英語を引き出すようにする。)

(4) 本文の導入 ・内容理解 ・絵やジャスチャーを使い、質問しながら本文のOral  Introductionをする。) 長先生からは、絵を見ていきなり、who is she?と聞かない。Is she ~? とNo. No.最後にWho is she?と聞く。 Who is she? What is it?など動詞(is)にストレスをおくのは、ここだけとの助言があった。 ・教科書の内容理解 本文の内容理解では、I’m new here.の部分では、ウォームアップの歌のhereを思い出させる。Hereの意味を辞書で確認する。辞書で確認できたら立ち上がって(先生は、立ちあ上がった順に何番目か教える)、終わっていない生徒の手助けする。その後、hereの意味を確認。黒板に「here ここに・ここで」とを記入。また、very muchがつくと気持ちが強くなると説明していた。 辞書引きに関して、壽原先生は、「辞書は、全員最後一人までやらせたい。1年生の段階では、みんなで早くなっていこう!みんなで助け合っていこう!時間との勝負。項目を全部読む。例文の日本語を読むだけでも良い。単語に10個の意味があることを知るだけでもよい。」との話があった。 杉本薫先生からは、教科書の内容理解についてI’m new here.など日本語で説明しないほうがよいのではないかという意見があった。この部分( I’m new here.)は、いろいろな解釈が考えられ、日本語で説明しまうと、それ一つになってしまう恐れがある。1年生の教科書は、文の数が限られているので、いろいろな解釈が可能であることを教師側は理解し、また、一度生徒に説明してしまうと、いつでも説明がないと理解できない生徒になってしまう恐れがあることを念頭に指導していくことが大切との助言があった。theなどは、読めればよい。日本語で本文の説明をするなら、書かれていないことを説明した方がよい。 また、辞書引きで、意味がわかったら立つことについて、最後の人はプレッシャーになるのではないか、他の生徒は、数個引けている間に、1個でもよいのではないか。辞書引きに時間がかかる生徒に対して、(助け合って)ゆっくりやってあげていると言いながら、引いている生徒には暗黙のプレッシャーになってしまう。気持ちのハードルを下げていくことも大切。 与える課題は同じでも、種類を増やるしてるあげる方法もある。辞書は、授業の中で1回、2回引くだけでは終わりではない。授業中に引く単語は、その場で中身を要求する単語。意味を調べるというより、例文を調べることが大切。(日本語の意味を確認するよりも)使われている文・句を言わせるほうが効果的である。生徒は、授業以外でいかに引くようにさせるか、また、例文の大切さを生徒に伝えることが大切。 教科書の再現について、教科書の文を暗記していくと何がいいのか?その先にあるのは何か?いいことは何か?生徒に目的を伝えることが大切。(杉本薫先生) (5)本文の音読 ①(FCを使って)生徒から読ませる 一度カードを最後まで *生徒がspeakの文字を読んでいたが、フォニックスの指導をしているのかという質問に対して、壽原先生は「フォニックスの指導は、th以外は教えていない。いくつか出てきた段階で指導していきたい。」 ②(FCを使って)先生の後について発音 適宜くりかえる。 ③(FCを使って)カードをフラッシュさせる。 ④Reading (Repeat/Pair/Buzz(☆読み)/Individual) Pair readingは、この単元は対話文でない本文では、1文ずつ交互に読ませた。星読みとは、五回読んだら☆をつける。どのページも☆十個をつけることを目標に、最低5個。授業のものをカウントしてよい。全員にCDを買わせて練習させている。☆読みの手順を最初に説明している。 参加者からは、音読の声がでていることに対して秘訣はあるか?との問いに、壽原先生からは、声がでないのは、1.自信がない 2.やる気がない 3.恥ずかしい からである。3については、英語らしく発音することが格好いいと思わせる指導をしている。 教科書は両手で持って読ませる。1年生は、言えたこと、教科書にでてきたことを最低限書けるようにしている。 また、本文の再生時に、Read and look up や虫食いで橋渡しをしてから、本文の再生していないのかという質問に対して、英語のレベルによっては、ジェスチャーと絵だけで十分な場合もあると説明された。 両国高等学校の山本先生からは、先生の後に繰り返す場面が多いとの指摘があった。自分に言わせてみるのはどうか?先生がレールを引いて、おうむがえしにやり、型にはめるのではなく、生徒にまず言わせてみて、言えなかったり、失敗する経験をさせ、学ぶモチベーションにすると良いとのアドバイスがあった。生徒が言いたい場面、状況を創りだす、間違う場面を作ることも大切な視点です。 参観者の方に若い先生や教育実習も多く、壽原先生の授業は参考になることばかりであった。次回は、文京第9中学校の田中久美子先生の授業を使います。9月からの授業発表について現在募集中です。 (文責 鈴木悟 都立両国高等学校附属中学校)

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