第223回 田中久美子先生の授業

日時 2014年6月21日(土)14時から
会場 都立両国高等学校附属中学校
内容 中学2年生の授業
授業者 田中 久美子
本日の授業者は、文京区立第九中学校の田中久美子先生です。TOTAL ENGLISH NEW EDITION 2 Chapter 1 Project「日記を書こう」の授業(3時間扱いの第3時)で、展開は以下の通りです。
1. 導入
・あいさつ 出欠、曜日、日付、天気を言う。 ・ディクテーション 既習文法を使用して、英文1文を書き取る。毎時間行い、正解した生徒にはスタンプを与える。これは、「正解するために練習をしてきた」ということで、関心・意欲・態度の評価にあたる。 ・BINGO 普段はLET’S ENJOY BINGOを使用するが、今回のように「書く」活動を扱うときは、その活動で使いそうな表現を用いたオリジナルのもの作成、使用する。 ・会話 昨日起きたことなど、過去形を使ってペアで会話する。40秒間話し続けられたらスタンプをもらえる。生徒同士のペアで会話をしたあと、数人の生徒を指名し、話し合った内容をクラスでシェアする。 ********************************************************************************
最初のあいさつからよく声が出ていて、とても元気な印象を受けました。 “How are you?” の問いかけに対して、“I’m fine.” だけではなく、 “I’m thirty.” “I’m sleepy.” のようないろいろな返事が聞こえてきました。 ディクテーションは、宿題でテストされる個所を読んできていることが前提なので、すぐにテストが始まりました。テストの前に一斉に読むとより丁寧だという意見がありました。 会話の活動に関しては、次のようなアドバイスや意見がありました。 ・40秒ではなく、2分間程度時間を与え、余裕を持たせるとよい ・会話を続けるためには、ペアで互いに助け合う態度が必要 ・尋問(“What did you do yesterday? What did you study yesterday? What did you eat yesterday?)にならないように注意する ・質問するには、するだけの意味があるはず。相手に尋ねる前に、まずは自分のことから話す ・話の構成として、主語、動詞、動詞の時制を変えることを意識させるとよい ・話したくなるような話題を設定することが大切

2. 展開
・前回の授業で書いた『特別な日の日記』を読む 添削された作文を読み、間違いを各自で確認するとともに、間違いが多かった表現を電子黒板で提示し、正しい表現を全員で確認する。 ・本時の目標の確認 ・『特別な日の日記』を改善する 日記の内容がさらに詳しくなるように、1~2文書き加える。どこに付け加えたかわかるように、矢印で付け加えた個所を示す。これは、高校で段落を書くための基礎を築くことにつながる。 ・『特別な日の日記』を発表する 改善した日記を、内容が伝わるように発表する。
********************************************************************************
英作文の間違い直しでは、‘noun’や ‘verb’のような品詞も英語を使って説明していました。 田中先生の印象として、電子黒板を使うようになってから、生徒の文法的な間違いが減ってきたということです。生徒が日記に英文を追加する活動の際には、田中先生は机間巡視を行い、できるだけ多くの英文をこの時間内に添削することを心掛けているそうです。展開部分で出たアドバイス・意見は以下の通りです。 ・英文の間違いは、見て気づかせるのではなく、読んで気づかせる ・毎日の生活記録を英語で書かせるとよい ・書かない生徒に対しては、出だし “I got up at 6.”と最後 “I went to bed at 10.”だけを英語で書かせ、残りの部分は日本語で書いてよいことにするとハードルが下がる。授業内で “What time did you go to bed yesterday?” のような質問をするとよい。 ・発音できる/読める英語は書けるようにする ・生徒は他人の間違いにはよく気が付く ・早く終わった生徒が手持無沙汰にならないように、次にやるべきことを明確に指示する 3. まとめ ・振り返りシートの記入 生徒は、今回の授業内容に合わせた質問5つに◎○△の3段階で答えるとともに、授業の感想とClassroom English(英語で言いたかったけど言えなかった表現)を自由に記述する。Classroom Englishは、リストにし、後日生徒に配布する。 授業の初めから最後まで、田中先生と生徒のやり取り、生徒同士のやり取りがとてもスムーズでした。英語の授業だけではなく、普段の生活から、生徒とのコミュニケーションを心掛けているそうです。生徒が発言するたびに、その頑張りを認める評価していたのが印象的でした。また、すべての生徒が確実に目標に到達できるように、スモールステップが設定されていました。これらのことによって、生徒は安心して授業に参加できるのだと思いました。田中先生、ありがとうございました。
(文責 都立両国高等学校附属中学校 丹伊田)

カテゴリー: 研究会の記録 パーマリンク