第220回 中学締めくくりの授業

日時:2014年3月1日(土) 午後 2時から 会場:東京都立両国高校附属中学校 内容:中学3年締めくくりの授業 第220回英語授業研究会は、両国高校附属中学校の「3年生の締めくくりの授業」と題して、山本崇雄先生が附属中学校の中3最後の時期の授業を中心に、ここ数年間の取り組みの集大成を発表しました。

 
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山本崇雄先生から
いつも英語授業研究会に参加いただき感謝申しあげます。教師になり、20年、3校目の本校では、2回目の中3を迎えました。皆さんは、義務教育最後の年である中3の最後の締めくくりをどう迎えますか?どのような授業をしようと計画を立てていますか? この学年の授業開きの様子は、3年前、本研究会(長研第54回)でご紹介しました。今回はその逆で、中3の締めくくりの授業を紹介させていただければと思っています。この3年間、「自立した学習者」を育てることを大切に指導してきました。そのゴールとして考えたのが、「生徒による授業」です。New Crown 3のLesson 8の一部を生徒が計画を立て、授業を行います。その様子と、それに至る授業をあわせてご覧いただければと考えています。
<発表でのキーワード> 自立した学習者 英語による共同学習 アクティブラーニング 中高の接続 生徒による授業~教えることは学ぶこと ディベート

**************研究会レポート
○目指す生徒像(=中3のゴール):自立した学習者を育てる →最後のLessonは生徒に授業をさせてみよう
○生徒による授業 ・班ごとにLesson 8 Readのページの授業を考え、発表する ・教えるためには自分がちゃんと理解しないとダメ ・準備には3時間くらい、発表に2~3時間実際に生徒の発表を見せていただきました。自作のパワーポイントによるオーラルイントロダクションや、コント(?)を使った基本文の導入、○×ゲームなど、各班いろいろな工夫を凝らした授業をしていました。何より生徒たちが本当に楽しんで取り組んでいる姿が印象的でした。また、生徒たちが書いた、「授業で工夫したいこと」と「授業後に思うこと」を紹介していただきましたが、生徒が書いたと言われなければわからないほど我々教師が思うことと同じで驚きました。
○Active Learning ・いかに能動的にするか ・グループで取り組むことの利点は、Slow Learnerも取り組めること、時間の短縮 ・Oral Presentationは中1から中3まで取り組んでいる。教科書の内容だけでなく、自分のことも必ずつけ加え、学年が進むにつれて自分のことの割合を増やしていく。  「ただ座って講義を聴いている時の脳活動は、寝ている時と同じ」という言葉にはショックを受けました。中1、中2、中3のOral Presentationのビデオを見せていただき、成長している様子がよくわかりました。 ○授業で大切にしていること  ・Input & Output(授業内でOutputする時間をとるのが大切)  ・Creativityを育てる(guess workでイメージさせる、発表では自分の意見を言わせる) ・自学力を育てる(わからないと思った時にどうするかを教える)  自学に不可欠なものとして、辞書と文法の2つがあげられました。辞書は引きたいと思わせる工夫が必要である。引いたらその項目をすべて読み、前後の単語にも寄り道をすることを指導しているとのことでした。文法は宿題として文法のまとめを作らせているそうです。その際参考にさせるのが教科書のまとめのページとBasic Grammar in Useの例文。いちばん良くできているものを印刷して学年全員に配るそうです。 a

○授業  1.Dictionary Quiz(英英辞典を使って語義から単語を当てるクイズ)  2.Bingo(タイマーを使い、グループでごとにやる) 3.Guess the Story(①簡単なOral Introduction、②絵から内容を推測してグループでキーワードをあげる、③キーワードを全体でシェアする) 4.Listening to the CD(さらにキーワードを増やす) 5.Read & Tell(Four Cornersの要領で、グループで本文の内容のSummaryの穴埋めをする) 6.Practice to Tell the Story(Oral Presentationのための練習)
7.Textbook(本文の音読)  いつもの授業の様子のビデオを見ながら説明していただきました。Dictionary QuizとBingoは先生の出番が一切なく、生徒たちが自分で進めていました。各班に1個ずつタイマーを配ることで、自分たちで時間をマネージメントさせているそうです。Guess the StoryからTextbookまで、ほとんどの活動がグループやペアで行われていて、生徒たちは協力して教え合っていました。 ○その他  ・生徒の振り返り(テストごとに行っている。質問は、「(先生が)授業で大切にしていることを20個書きなさい」と「家庭学習で大切なことを10個書きなさい」) ・各学年のゴール(検定教科書はリプロダクションできること、全員が確実にできることをやっていく、中学では英語をいかに好きにさせるかが大切) ○私の心に残った山本先生の言葉  ・誰かのために何かをする(ノートやワークシートをペアで交換して書かせる)  ・ホントは○○したい(理想はあるが、目の前の生徒の状態に合わせる) ・“できない”経験をすることがモチベーションにつながる ・突っ込んだ質問をしないと生徒は準備をしない ・一緒に楽しむ ・「ありがとう(Thank you.)」と言われる機会を授業の中で与えてあげる ・間違えていい  学年末の土曜日にもかかわらず参加者は49名にもおよび、隣の教室からイスを補充しなければならないほどでした。たくさんのビデオと山本先生の楽しく勉強になるお話で、あっという間の2時間半でした。私が一番印象に残ったのは、生徒の発表や生徒による授業のビデオを見ている時の山本先生のお顔です。本当に生徒たちのことを可愛く思っているのがにじみ出ていました。知識や指導技術も大切ですが、やはり一番は生徒たちへの愛なんだと改めて思いました。  山本先生、ありがとうございました。                    

文責:世田谷区立三宿中学校 壽原 友理子

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